スタートアップの評価額算定方法

今回も巨大ファンドによるスタートアップへの投資に関する話題です。ユニコーンへの投資を新規に開始したファンドタイプの一つとしてミューチュアル・ファンドが挙げられますが、ミューチュアル・ファンドは一般大衆に販売されるため、保有資産をいくらと評価しているかが一般に公開されます。Wall Street Journalによれば、彼らミューチュアル・ファンドが投資した(非上場の)スタートアップ株式の評価方法の適切性について、SECが関心を寄せているようです。たとえばUberの株価について、FidelityとBlackRockで20%くらい評価額が異なっていることなどが少し前から報道されており、評価額算定に適切なプロセスが踏まれているか否か、SECとしては投資家保護の観点から精査を始めていきたい模様です。

この結果として非上場株の評価額算定プロセスについて何らかの規制強化(?)があるのであれば、ユニコーン以外のearly stageやmiddle stageへの投資の評価方法も変わらざるを得ず、一般的なVCの実務にも影響が及ぶように思われます。

スタートアップ投資の客観的なバリュエーションが難しいのは周知の事実であり、株価を揃えようとするのであれば、たとえば直近のファイナンス価格で統一するくらいしか思いつきません。ただ、それが適切ではない場合もあるからこそ、上述のような各社の評価の差異が生じたのだと思います。また本来であれば、評価額の算定には投資契約のタームも考慮に入れざるを得ず、ファイナンスシリーズごとに異なるliquidation preferenceの価値などを考え始めるとかなり困難を伴いそうです。だから価格が乖離するのはある意味致し方なく、むしろ健全な証左であるように思うのですが、、、今後どのような方向で進んでいくのか、興味深いです。

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