SquareのIPOとユニコーン

Unicornのうちの一社であったSquareのIPOが直近のファイナンスラウンドよりも評価額を下げるということで、話題になっています。ユニコーンの時代の終わりの始まり、という論調も多いですが、結局のところSquareに対してユニコーンになるようなバリュエーションをつけた、最終ラウンドの投資家は(公開時点では)損をしないことになりそうです。 Square’s valuation has taken a $2 billion hit in its IPO—but investors don’t care さて、ユニコーンが増えた原因の一つとして、従来は公開株に投資していた巨大ファンドが近年、上場前の大型スタートアップにも投資するようになってきたということが挙げられており、上場企業と非上場企業との間の大きなギャップを超えてなぜそのようなシフトが起きたのかが、個人的には不思議でした。しかし、ユニコーンに投資する際にanti-dilutionやliquidation preferenceを投資契約のタームにいれることができるのであれば、過大評価による株価下落リスクを(少なくとも一定程度は)カバーすることができる一方、上場株への投資ではそのようなプロテクションが原則として何もないので、実は期待リターンは上場株よりユニコーンの方が高いと考えるのが合理的なのかも知れません。とすれば、SquareのIPOの影響で投資条件が多少厳しくなったとしても、今後も巨大ファンドによる上場前スタートアップへの投資は続き、ユニコーンもそう簡単には消えないようにも思えます。もっとも、上記のような期待リターンの議論は、投資対象となるスタートアップが(評価額はともかく)確実にexitする力を持っていることがそもそもの大前提となるので、later stageよりさかのぼって、middle stageやearly stageのスタートアップにこれらのファンドが投資する可能性は、今のところあまり高くないように見えます。

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