乱調なLBO市場のPE案件への影響

PEファンドによる企業買収は、リターンを上げるためにローンや債券発行で債務性の資金を調達し、ファンド自らの資金にレバレッジをかけるのが通常ですが、レバレッジをかけるデット・ファイナンスの引き受け手が市場から消滅しつつあるため、必要な買収資金を調達できず、数千億円単位の巨額のディールが何件もクローズできなくなる可能性が高まっている、という記事がFinancial Timesに出ています。一旦買収価格に合意して契約も締結したのに、市場からの資金調達ができなかったため、合意した買収価格を売り手と再交渉して引き下げた案件も既にあるようです。

昨年からジャンク債の金利が上昇し、トリプルC以下の債券に至っては金利が20%近くに達しているという話だそうで、そのような乱調な相場では、銀行も資金調達を引き受けることを躊躇せざるを得ません。実際に全ての銀行からアレンジを断られて、ファンド自身が証券引受人となって年金などの最終投資家に販売した事例も今年に入ってあるようです。そのようなことをPEファンドが出来ること自体がすごいですが。

外部からの資金調達ができないとなると、レバレッジを下げてファンド自身が出資する資金を増やさざるを得ないのでしょうが、そうなってくると今度はファンドのリターンが下がり、ファンドのリミテッド・パートナーに保証しているハードル・レートの達成が困難になってきます。とすると、今までのような買収価格の正当化は難しくなる、ということかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です