VCが投資先において一定事項に対する拒否権(例えば追加増資に反対する権利や、新規ビジネスへの進出に反対する権利)を持ちたい場合、それを実現するには主に2通りの方法があると思います。すなわち、①当該事項を取締役会決議事項とし、かつVCから投資先に取締役を派遣して、その派遣取締役が賛成することを当該取締役会決議の必要条件にする、という方法と、②当該事項を株主総会決議事項にして、VCが保有する株式に当該事項に対するveto(拒否権)を持たせる、という方法です。その2つの方法では何か違いが生じるのでしょうか。 “VCの投資先に対する拒否権” の続きを読む
VCと普通株主の利益相反(Trados)
少し前に触れた、VC(優先株主)と普通株主との間の利益相反について争われた裁判例であるTradosについて、簡単に整理したいと思います。最終的にはVC側が勝ったのですが、エクジット(M&A)のプロセス自体は公正ではなかったと認定されており、アメリカのVCプラクティスに一定の警鐘を鳴らした2013年の裁判例です。 “VCと普通株主の利益相反(Trados)” の続きを読む
株主代表訴訟とM&A
アメリカで上場企業を対象とするM&Aを行う場合、その後に株主代表訴訟が提起されることがほぼ通例ということになっていました。しかし、Wall Street Journalの調査によれば、M&Aの対象企業がその株主から訴訟が提起される率は、2015年1-9月は平均78%だったのが、その後10-12月には平均が34%に急落したということです。 “株主代表訴訟とM&A” の続きを読む
減速する巨大投資家からのスタートアップ投資
Mutual fundなど、上場株を主たる投資対象とする巨大投資家が上場前のスタートアップにも投資を行いはじめているという話がありましたが、Wall Street Journalによると、既に巨大投資家は非上場スタートアップへの投資を控えるようになってきているとのことです。
ちょっと前(2015年7月)の情報ですが、ユニコーンへの出資数が多い投資家上位8社のうち、半分の4社がそのような巨大投資家だったということですので、これらの投資家による投資が減少すれば、今後のラウンドでは調達額やバリュエーションが下がっていくのはやむを得ないかもしれないですね。
優先株主と普通株主の利益相反
Good Technologyという元ユニコーンが評価を下げてエクジットした結果、優先株主と普通株主で取り分が大きく異なる結果となり、もめているという顛末を詳細にレポートした記事がありました。 “優先株主と普通株主の利益相反” の続きを読む
Uberのタックス・スキーム
少し前に、Uberのタックス・スキームをかなり詳しく説明している記事がありました(How Uber plays the tax shell game)。スキームとしてはUber固有なものではなく、一般的に使われているものということであり、現時点で定着しているタックス・スキームの実務が紹介されているという点で参考になります。 “Uberのタックス・スキーム” の続きを読む
ユニコーンとM&A
2011年に11億ドルの評価額がついて一時期ユニコーンの仲間入りしていたGilt Groupeが、4分の1以下の$250MでSaks Fifth Avenueのオーナーに売却されそうになっている、というニュースが流れています。 “ユニコーンとM&A” の続きを読む
PEファンドの経営指導料
プライベートエクイティファンドが経営指導料などの名目で投資先から受領する、いわゆるportfolio company feeの金額が、調査した範囲で過去20年間で推計$200億ドルを超えているという論文が先日発表されて、各所で少し話題になっています。 “PEファンドの経営指導料” の続きを読む
アクティビスト対経営陣の構造に変化
ダウ・ケミカルとデュポンの10兆円を超える大型統合(とその後の事業分割)が発表されましたが、その裏の交渉舞台では、実はアクティビスト(Trian Fund ManagementのNelson Peltz) が双方の経営陣と一緒になって統合案を検討していたようです。
アクティビストといえば経営陣に圧力をかける立場で、いくら米国でも経営陣には一定の距離を置かれているはずですが、ここでは逆に経営陣がアクティビストに相談に行ったようで、時代の一つの大きな節目を感じます。
MBAのStartup人気
世の中がスタートアップ・ブームで沸き起こりつつある中、そのお膝元にあるスタンフォード・ビジネススクールが、学生が起業に没頭しすぎて学業が疎かになることを危惧し、少なくともビジネススクール在学中は起業よりも学業に集中するよう諭しているという記事が出ていました。 “MBAのStartup人気” の続きを読む