世の中がスタートアップ・ブームで沸き起こりつつある中、そのお膝元にあるスタンフォード・ビジネススクールが、学生が起業に没頭しすぎて学業が疎かになることを危惧し、少なくともビジネススクール在学中は起業よりも学業に集中するよう諭しているという記事が出ていました。
MBAからの起業はもはや東海岸を含めた米国ビジネススクール全体のトレンドになっています。確かに、ここまでスタートアップの人気が高まり、人材が流れ込むようになると、もはや過当競争となりリターンが見込めなくなるため、歯止めをかけるのが正しいようにも思います。もっとも、スタートアップは、ウォールストリートなどとは違って、必ずしも同じ市場を喰いあっているわけではない(スタートアップそれぞれが新しい市場を創出している)ので、一般的な業界ほど、人気度とリターンが反比例する関係にはないようにも思います。また、世界に重要なインパクトを与えるイノベーションが生まれる確率は、その時点で存在するスタートアップの総数との間に相関関係がそれなりにあるように思いますので、スタートアップ業界が人材に溢れるということは、世の中の発展という意味では良いことのように思います。とはいえ、業界人口が増えると、別々のスタートアップが同時期に同じアイデアにたどりつくリスクは高まると思いますし、そもそもスタートアップは本来的には業種を問わないものの、現実的には一定の時期には一定の業種に偏っているのが事実なので、過当競争に関する一般的な話が全く当てはまらないということでもなさそうですが。
なお、ウォールストリートからGoogleやFacebook、Twitterなどに人材が流出しているという話もあるみたいですたが、これはスタートアップ・ブームとは別の話で、単にテック業界がそれだけ「おいしい」業界になったということかと思います。