シード期のバリュエーションの変化(とついでにcrowdfundingについて)

ユニコーンの評価額の反転についての話題を目にすることが多いですが、アーリーステージのスタートアップについても、評価額が下がりはじめているという話もあるようです。Wall Street Journalによれば、AngelListという、エンジェル投資家向けのクラウドファンディングサイトで資金調達したスタートアップのバリュエーションの平均額は、ここ数年上昇していたところ、2015年の第4四半期は490万ドルから420万ドルに下がってしまったということのようです。 “シード期のバリュエーションの変化(とついでにcrowdfundingについて)” の続きを読む

VCの投資先に対する拒否権

VCが投資先において一定事項に対する拒否権(例えば追加増資に反対する権利や、新規ビジネスへの進出に反対する権利)を持ちたい場合、それを実現するには主に2通りの方法があると思います。すなわち、①当該事項を取締役会決議事項とし、かつVCから投資先に取締役を派遣して、その派遣取締役が賛成することを当該取締役会決議の必要条件にする、という方法と、②当該事項を株主総会決議事項にして、VCが保有する株式に当該事項に対するveto(拒否権)を持たせる、という方法です。その2つの方法では何か違いが生じるのでしょうか。 “VCの投資先に対する拒否権” の続きを読む

VCと普通株主の利益相反(Trados)

少し前に触れた、VC(優先株主)と普通株主との間の利益相反について争われた裁判例であるTradosについて、簡単に整理したいと思います。最終的にはVC側が勝ったのですが、エクジット(M&A)のプロセス自体は公正ではなかったと認定されており、アメリカのVCプラクティスに一定の警鐘を鳴らした2013年の裁判例です。 “VCと普通株主の利益相反(Trados)” の続きを読む

減速する巨大投資家からのスタートアップ投資

Mutual fundなど、上場株を主たる投資対象とする巨大投資家が上場前のスタートアップにも投資を行いはじめているという話がありましたが、Wall Street Journalによると、既に巨大投資家は非上場スタートアップへの投資を控えるようになってきているとのことです。

ちょっと前(2015年7月)の情報ですが、ユニコーンへの出資数が多い投資家上位8社のうち、半分の4社がそのような巨大投資家だったということですので、これらの投資家による投資が減少すれば、今後のラウンドでは調達額やバリュエーションが下がっていくのはやむを得ないかもしれないですね。

優先株主と普通株主の利益相反

Good Technologyという元ユニコーンが評価を下げてエクジットした結果、優先株主と普通株主で取り分が大きく異なる結果となり、もめているという顛末を詳細にレポートした記事がありました。 “優先株主と普通株主の利益相反” の続きを読む

Uberのタックス・スキーム

少し前に、Uberのタックス・スキームをかなり詳しく説明している記事がありました(How Uber plays the tax shell game)。スキームとしてはUber固有なものではなく、一般的に使われているものということであり、現時点で定着しているタックス・スキームの実務が紹介されているという点で参考になります。 “Uberのタックス・スキーム” の続きを読む

MBAのStartup人気

世の中がスタートアップ・ブームで沸き起こりつつある中、そのお膝元にあるスタンフォード・ビジネススクールが、学生が起業に没頭しすぎて学業が疎かになることを危惧し、少なくともビジネススクール在学中は起業よりも学業に集中するよう諭しているという記事が出ていました。 “MBAのStartup人気” の続きを読む

スタートアップの評価額算定方法

今回も巨大ファンドによるスタートアップへの投資に関する話題です。ユニコーンへの投資を新規に開始したファンドタイプの一つとしてミューチュアル・ファンドが挙げられますが、ミューチュアル・ファンドは一般大衆に販売されるため、保有資産をいくらと評価しているかが一般に公開されます。Wall Street Journalによれば、彼らミューチュアル・ファンドが投資した(非上場の)スタートアップ株式の評価方法の適切性について、SECが関心を寄せているようです。 “スタートアップの評価額算定方法” の続きを読む