シリコンバレーの就職人気の変化

シリコンバレーのエンジニアの間で、アップサイドの大きい(いわゆる本当の)スタートアップへの就職人気が落ちており、Googleなどのより「安定的」な会社の人気が高まっているという記事が、Wall Street Journalに出ていました。

ここ最近の投資マインドの冷え込みにより、スタートアップの先行きが不透明になったことを受けての対応です。ランチなどの福利厚生が充実していることは優良スタートアップの大いなるアピールポイントだったわけですが、最近では、豪華な福利厚生を提供するスタートアップを、「金を無駄遣いしている」と見て逆に避けるエンジニアも出てきているとのことです。

とはいえ、このように一般大衆がある方向に動いたときに、世の中の流れに逆行する動きをすることこそが、リスク対比のリターンを高める秘訣です。例えば、(英語がさほど得意でない)日本人がシリコンバレーのスタートアップに挑戦したいのであれば、今のような時期こそがチャンスなのでしょう。

ユニコーンの評価額推移

ユニコーンに投資するミューチュアル・ファンドは、その投資先であるユニコーンの株式をいくらで評価しているのか、四半期ごとに開示しています。その評価額の推移を一覧化することを、Wall Street Journalが始めたようです(The Startup Stock Tracker)。

ミューチュアル・ファンドは、一般大衆から運用資金を預かっているので、このような開示義務があるところが、VCとは大きく異なるところです。

インドのスタートアップ

Wall Street Journalに、海外で経験を積んだインド人が、続々とインドに帰って起業をはじめている、という記事がありました。インドのスタートアップの数は、2010年から2015年の間に3倍になったそうです。

インド人は理系的な才能に富んだ人が多く、シリコンバレーでも多数のインド人が活躍しており、スタートアップが活躍する土壌は結構前からあったと思います。まさに今が伸び盛りということなのでしょう(といっても、既にユニコーンはいくつもインドに存在するわけですが。)。人口からしてマーケット規模も十分なので、VCの投資対象としてなかなか魅力的な地域です。ただ、Wall Street Journalのような大きなメディアが報道しているということは、投資の最適なタイミングは既に過ぎてしまったということかもしれません。早すぎても駄目だし、遅すぎても駄目というのが、投資の難しいところです。

誰がIoTに投資しているか

少し前のものですが、IoTに投資しているVC上位14社と、その投資先を一覧化したが公開されていました。勉強になります。

Intel Capitalがダントツの1位、Qualcomm Venturesが2位です。確かにこれらの企業はチップメーカーとして、PC、スマホの次に来る覇権争いに負けないよう、この分野に投資する意味がありそうですね。CVCとしては他にCisco Investmentsが入っています。Ciscoもネットワーク機器のガリバーなので、IoTで取り組める内容が多そうです。

FacebookはなぜIPOする必要があったのか

Financial Timesに、最近ユニコーンのIPOが進んでいない、という記事がありました。その内容はさておき、記事の中に、株主数が一定数を超えるとスタートアップは上場せざるを得なかった、という記載があったので、その根拠となる規制の具体的な内容について、備忘的に記します。 “FacebookはなぜIPOする必要があったのか” の続きを読む

Googleの制限付き株式って?

GoogleのCEOが報酬として約230億円相当の制限付き株式を付与された、という記事がブルームバーグに出ています。

制限付き株式(Restricted Stock)というと譲渡制限株式かな、というイメージが日本だとありますが、ちょっと違いますよね。Google(というかAlphabet)は上場してますしね。 “Googleの制限付き株式って?” の続きを読む

VCと先買権

ベンチャーキャピタルは、スタートアップに投資する際に、投資先株式の先買権(preemptive rights)を投資契約で確保しておくことが多いです。先買権を有する投資家は、次のファイナンス・ラウンドで、他の外部投資家よりも優先してスタートアップに出資する権利を持っています。しかし、実際には、既存投資家だけで次のファイナンス・ラウンドの出資を完結することは少なくて、むしろ外部から新たに投資してくれるVCを探してきて、その外部VCがリード・インベスターを務めることが多いです。

なぜ、そのようなことをするのでしょうか。もちろん、必要な金額を調達するために新たなVCが必要だった、ということも多いと思いますが、ちょっと違って視点で見てみたいと思います。 “VCと先買権” の続きを読む

培養肉スタートアップ

Wall Street Journalに、「培養肉」に取り組むスタートアップが増えている、という記事が出てました。培養肉とは、動物の細胞を培養して人工的に作られた食用肉であり、効率的に肉が製造できます。数年前から牛肉で取り組まれているようですが、その後鳥肉が続き、今回は豚肉の培養にも取り組むスタートアップが現れたという記事です。肉の消費は世界的に増え続ける一方、既存の畜産業は規模の拡大に限界があるので、技術革新が必要な市場ということでVCのお金も流れ始めています。

酸素供給が必要なので極薄の肉しか作れないとか、培養過程で牛の胎児の血清が必要なので結局は製造のプロセスから動物が排除されていないとか、今の時点ではコスト面以外にもいろいろ課題はあるようですが、面白い分野ですね。

 

米国のFintech

Wall Street Journalが、Has Fintech Boom Peaked?(フィンテックブームのピークは過ぎた?)というタイトルの記事を出しています。内容としては、上場したFintech企業の株価が下がっていること、Fintech企業のIPO延期が立て続けに発表されたこと、Fintech企業の案件数が昨年は2009年以来はじめて年間案件数として減少したこと、などが挙げられています。 “米国のFintech” の続きを読む