乱調なLBO市場のPE案件への影響

PEファンドによる企業買収は、リターンを上げるためにローンや債券発行で債務性の資金を調達し、ファンド自らの資金にレバレッジをかけるのが通常ですが、レバレッジをかけるデット・ファイナンスの引き受け手が市場から消滅しつつあるため、必要な買収資金を調達できず、数千億円単位の巨額のディールが何件もクローズできなくなる可能性が高まっている、という記事がFinancial Timesに出ています。 “乱調なLBO市場のPE案件への影響” の続きを読む

VCの投資先に対する拒否権

VCが投資先において一定事項に対する拒否権(例えば追加増資に反対する権利や、新規ビジネスへの進出に反対する権利)を持ちたい場合、それを実現するには主に2通りの方法があると思います。すなわち、①当該事項を取締役会決議事項とし、かつVCから投資先に取締役を派遣して、その派遣取締役が賛成することを当該取締役会決議の必要条件にする、という方法と、②当該事項を株主総会決議事項にして、VCが保有する株式に当該事項に対するveto(拒否権)を持たせる、という方法です。その2つの方法では何か違いが生じるのでしょうか。 “VCの投資先に対する拒否権” の続きを読む

VCと普通株主の利益相反(Trados)

少し前に触れた、VC(優先株主)と普通株主との間の利益相反について争われた裁判例であるTradosについて、簡単に整理したいと思います。最終的にはVC側が勝ったのですが、エクジット(M&A)のプロセス自体は公正ではなかったと認定されており、アメリカのVCプラクティスに一定の警鐘を鳴らした2013年の裁判例です。 “VCと普通株主の利益相反(Trados)” の続きを読む

減速する巨大投資家からのスタートアップ投資

Mutual fundなど、上場株を主たる投資対象とする巨大投資家が上場前のスタートアップにも投資を行いはじめているという話がありましたが、Wall Street Journalによると、既に巨大投資家は非上場スタートアップへの投資を控えるようになってきているとのことです。

ちょっと前(2015年7月)の情報ですが、ユニコーンへの出資数が多い投資家上位8社のうち、半分の4社がそのような巨大投資家だったということですので、これらの投資家による投資が減少すれば、今後のラウンドでは調達額やバリュエーションが下がっていくのはやむを得ないかもしれないですね。

優先株主と普通株主の利益相反

Good Technologyという元ユニコーンが評価を下げてエクジットした結果、優先株主と普通株主で取り分が大きく異なる結果となり、もめているという顛末を詳細にレポートした記事がありました。 “優先株主と普通株主の利益相反” の続きを読む

PEファンドの経営指導料

プライベートエクイティファンドが経営指導料などの名目で投資先から受領する、いわゆるportfolio company feeの金額が、調査した範囲で過去20年間で推計$200億ドルを超えているという論文が先日発表されて、各所で少し話題になっています。 “PEファンドの経営指導料” の続きを読む

アクティビスト対経営陣の構造に変化

ダウ・ケミカルとデュポンの10兆円を超える大型統合(とその後の事業分割)が発表されましたが、その裏の交渉舞台では、実はアクティビスト(Trian Fund ManagementのNelson Peltz) が双方の経営陣と一緒になって統合案を検討していたようです

アクティビストといえば経営陣に圧力をかける立場で、いくら米国でも経営陣には一定の距離を置かれているはずですが、ここでは逆に経営陣がアクティビストに相談に行ったようで、時代の一つの大きな節目を感じます。

米国ヤフー対アクティビスト

米国ヤフーは、保有する巨額のアリババ株式をAabacoという新設会社に分離するスキームをしばらく前から検討していましたが、近時の報道によると、アリババ株式を分離するのではなく、本業である米国のインターネット事業自体を売却することについても検討を始めたようです。 “米国ヤフー対アクティビスト” の続きを読む

開示資料から見るa16z(その2)

その1に続いて、次はファンドへの投資アドバイスを行っている会社に関する情報が開示されているSECのサイト(Investment Adviser Public Disclosure)を見てみます。こちらには、Form ADVという、米国投資顧問業法(Investment Advisers Act of 1940)で提出が義務付けられているフォームに記載されている内容が開示されています。 “開示資料から見るa16z(その2)” の続きを読む