ジョン・ドーア引退

Kleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)のJohn DoerrがKCPBの会長に就任して、投資業務の第一線からは身を退くようです(WSJ)。

クライナー・パーキンスといえばシリコンバレーに永らく君臨してきたVCです。近年は女性差別問題の訴訟が話題になり、またそれ以前にはクリーンテックへのシフトが結果的に上手くいかなかったりして、かつてほどの絶対性は失われてきていたようですが、それでもレピュテーションが最も重要な財産であるVC業界において、依然として名声を保ってきたように思います。それを引っ張ってきたJohn Doerrが一線から退くというのは、一つの時代の節目なのでしょう。

ユニコーンの評価額推移

ユニコーンに投資するミューチュアル・ファンドは、その投資先であるユニコーンの株式をいくらで評価しているのか、四半期ごとに開示しています。その評価額の推移を一覧化することを、Wall Street Journalが始めたようです(The Startup Stock Tracker)。

ミューチュアル・ファンドは、一般大衆から運用資金を預かっているので、このような開示義務があるところが、VCとは大きく異なるところです。

SECがファンドに対して目を光らせている分野

世界的な趨勢として、ファンドに対する規制は年々厳しくなっています。その流れの一環として、米国のSECではここ数年、ファンドに対する検査を強化し、不適切な行為に対して行政処分(enforcement)を課する方針を強めているようです。

SECがファンド検査の重点項目としている分野は、SECのサイトで毎年(2013年以降)公表されているのですが、その中でも繰り返し掲げられているのが、ファンドのフィーや経費に関わる内容であり、実際の処分も数多く出されています。 “SECがファンドに対して目を光らせている分野” の続きを読む

ファンドLPのための業界団体

ILPA(Institutional Limited Partners Association)という、PEファンドの投資家(LP)の利益を推進することを目的とする団体が、PE業界で用いるべきベスト・プラクティス・ツールを色々公開しています。総額1兆ドル以上を運用する300以上の投資家がILPAのメンバーになっているとのこと。

ILPAでは、ファンド情報の透明化を図るため、ファンド・パフォーマンスやフィー情報(キャリード・インタレストや管理報酬)などの統一的な開示基準を提示しているほか、キャピタル・コール通知書のサンプルや(ファンド出資の際の)DD質問状のフォーマットなど多少マニアックな資料もサイトで公開しており、参考になります。この団体のものであるかどうかは別として、ファンド業界における開示の様式は長期的に見れば標準化されていくのでしょう。

誰がIoTに投資しているか

少し前のものですが、IoTに投資しているVC上位14社と、その投資先を一覧化したが公開されていました。勉強になります。

Intel Capitalがダントツの1位、Qualcomm Venturesが2位です。確かにこれらの企業はチップメーカーとして、PC、スマホの次に来る覇権争いに負けないよう、この分野に投資する意味がありそうですね。CVCとしては他にCisco Investmentsが入っています。Ciscoもネットワーク機器のガリバーなので、IoTで取り組める内容が多そうです。

上場PE会社の株価

フィナンシャルタイムズで、上場しているPE会社の株価が低迷しているという記事が出ています。発表されつつある2015年第4四半期の業績が振るわないということが触れられていますが、収益構造的にどうしても業績の変動は激しくならざるを得ないので、株式市場で評価するのは難しい業界ですね。

VCと先買権

ベンチャーキャピタルは、スタートアップに投資する際に、投資先株式の先買権(preemptive rights)を投資契約で確保しておくことが多いです。先買権を有する投資家は、次のファイナンス・ラウンドで、他の外部投資家よりも優先してスタートアップに出資する権利を持っています。しかし、実際には、既存投資家だけで次のファイナンス・ラウンドの出資を完結することは少なくて、むしろ外部から新たに投資してくれるVCを探してきて、その外部VCがリード・インベスターを務めることが多いです。

なぜ、そのようなことをするのでしょうか。もちろん、必要な金額を調達するために新たなVCが必要だった、ということも多いと思いますが、ちょっと違って視点で見てみたいと思います。 “VCと先買権” の続きを読む

コンプライアンス・オフィサー受難の時代?

WSJによると、金融機関のコンプライアンス・オフィサー個人が行政処分において制裁金を課される事例が増えており、ニューヨーク州では、州の規制当局がコンプラアンス・オフィサーの刑事責任を追及する動きも出てきているとのことです。このような中、コンプライアンス・オフィサーの職を敬遠する人が増えており、新たな候補者を見つけるのが大変になってきていると。

ファンドのポートフォリオ・マネジャーが個人的な投資において利益相反行為を行っていたことを意図的に見逃したとして、ファンドのコンプライアンス・オフィサーが6万ドルの制裁金を課された事例も紹介されています。具体的にはこちらですね。

在シリコンバレーの日系VC一覧

ふと思い立ちまして、シリコンバレーでご活躍されている日系のベンチャーキャピタルのリストを作ってみました。ありそうでないように思いましたので。シリコンバレーに拠点があって、日本人ベンチャーキャピタリストが活躍しているVC、という観点でリストを作りました。 “在シリコンバレーの日系VC一覧” の続きを読む