その1に続いて、次はファンドへの投資アドバイスを行っている会社に関する情報が開示されているSECのサイト(Investment Adviser Public Disclosure)を見てみます。こちらには、Form ADVという、米国投資顧問業法(Investment Advisers Act of 1940)で提出が義務付けられているフォームに記載されている内容が開示されています。 ここでAndreessen Horowitzを検索すると、
という会社がヒットします。所在地などからして、この会社がa16zの運営ファンドに対して投資助言を行っているマネジメント・カンパニーであることが推定されます。
そして、Form ADVには、AH CAPITAL MANAGEMENTの関係当事者として、ファンドのスポンサー会社(GPと思われます)が匿名で6社記載されています。また、助言するファンドもFund AからFund Zまで、匿名で30社程度が記載されています。匿名になっているのは、アドバイスを提供しているクライアントの秘密保持の観点から、投資アドバイザーの帳簿上においてクライアントを匿名で管理している場合は、届出も匿名で行うことが認められているからです。
とはいえ、匿名ではあるものの、ファンドの資産評価額、出資者数、ファンド全体のうちスポンサー自身が出資する比率、海外投資家の出資比率などの数字が記載されています。
たとえば、資産評価額が最大である「Fund M」についてみてみますと、ファンドの資産評価額は約15.5億ドル、出資者数は104名、スポンサー自身による出資が全体の1%、ファンド・オブ・ファンズからの出資額が全体の31%、米国外からの出資額が全体の16%であり、監査法人がPwCであることが分かります。
同様にして、$100M以上の大規模ファンドについて開示されている内容を拾ってみますと、
評価額 | 出資者数 | 自己出資 | FoF | 国外 | |
Fund M | $1,550M | 104 | 1% | 31% | 16% |
Fund J | $1,295M | 69 | 1% | 35% | 8% |
Fund Z | $1,065M | 105 | 1% | 26% | 22% |
Fund B | $665M | 99 | 1% | 20% | 35% |
Fund U | $523M | 105 | 1% | 22% | 26% |
Fund A | $298M | 59 | 2% | 29% | 15% |
Fund G | $266M | 46 | 1% | 34% | 6% |
Fund W | $138M | 108 | 1% | 16% | 8% |
Fund P | $120M | 118 | 1% | 22% | 18% |
Fund F | $102M | 2 | 1% | 0% | 99% |
Fund AA | $1.7M | 37 | 1% | 0% | 6% |
となります(最後に参考までにもっとも小規模なファンドも載せてみました)。
こうして見ると、a16zは投資家数100名前後のファンドが多いこと、スポンサー自身による自己出資は概ね1%であることなどが分かります。そしてFund Fはおそらく二人組合であろうということも分かります。
他にも情報は色々載っていますが、細かくなるので割愛します。なお、ベンチャーキャピタルは米国投資顧問業法の免除規定(exemption)があるため開示情報が少なめですが、大規模なプライベートエクイティファンドであれば更に追加的な内容が開示されています。自分の気になるファンドについて同様に情報を探してみると面白いかもしれません。なお、日本のファンドであっても米国の投資家が出資していれば、米国の証券関連規制の対象になるので、検索可能だと思われます。