米国のベンチャーキャピタルのウェブサイトを見ると、チームメンバーや投資先などはわかるのですが、ファンド自体の内容についてはあまり開示されていません。これはプライベートエクイティファンドでも同様です(というか、ウェブ上の情報が更に少ない)。なぜこうなのかというと、別に秘密主義を貫いているのではなく、米国証券法の勧誘規制があるからだと考えられます(もちろん個別には他の理由もいろいろあるのかもしれませんが)。 そこで、せっかくなので、SECに開示されている情報からVCファンドの何がわかりうるのか、ということを、Andreessen Horowitz(a16z)を例として見てみたいと思います。
まず、SECの開示システムであるEDGARでAndreessen Horowitzを検索すると、Form-D(勧誘規制を免れるための届出書類)が10個ほどヒットし、最新ファンドは4号ファンドであろうことが分かります。そして、その4号ファンドは、
Andreessen Horowitz Fund IV, L.P.(以下「IV」)
Andreessen Horowitz Fund IV-A, L.P. (以下「IV-A」)
Andreessen Horowitz Fund IV-Q, L.P. (以下「IV-Q」)
という3つのファンドから構成されていることが判明します。
それぞれのForm-Dを見ていくと、ファンドの所在地(Menlo Park)や、Marc AndreessenとBen HorowitzがGPのManaging Memberであること、また例えばIVはファンド規模が10億ドルで、2014年3月27日に最初の出資(ファースト・クロージング)がなされており、出資している投資家数は104名であることがわかります。 3つのファンドについて同様に抜粋すると、以下のとおりです 。
名称 | ファンド規模 | 最初の出資 | 出資者数 |
IV | $1,000M | 2014/3/24 | 104名 |
IV-A | $3.4M | 2014/4/30 | 35名 |
IV-Q | $129M | 2014/4/30 | 108名 |
上記3つのファンドは、いずれも全額について募集が終わっていることも開示内容から読み取れます。
こうしてみると、おそらくIVがメインファンドで、残りのIV-AとIV-Qの2つは、レギュレーションや税務などの関係で別ファンドとして設立されている、ということが推定されます。細かい内容をみていくと、IVとIV-Qはプロ投資家(保有投資資産500万ドル以上など)のみを対象としており、IV-Aはそうではないことも読み取ることができます。
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