Good Technologyという元ユニコーンが評価を下げてエクジットした結果、優先株主と普通株主で取り分が大きく異なる結果となり、もめているという顛末を詳細にレポートした記事がありました。
- 2014年はじめには$1B以上の評価をつけたユニコーンだった
- 2014年5月にSECにS-1をfilingしてIPOの一歩手前まで行くも、その後の環境の変化で上場延期
- 更に資金繰りも厳しくなり、結局2015年9月に$425MでBlackberryに買収される
- その結果、従業員等の持っていた普通株の株価は1年前の4.32ドルから44セントに暴落
- 一方、VCなどの外部投資家の持つ優先株は3ドル以上の価値を保持
- CEOは$4Mと退職金$1.9Mを受け取り退職
- 従業員の中には、今回の受取額の何倍もの税金を株式取得時に払った人も
そのような中、取締役が普通株主の利益に十分に配慮しなかったとして、一部の普通株主が訴訟を起こしているということです。訴訟の結末がどうなるかは分かりませんが(※)、一般論として、ベンチャーキャピタリストが投資先の取締役に就任している場合、優先株主である自分達と、従業員などの普通株主との間で、エクジット時に利益相反が生じる可能性があるということは留意しておいてもよいかと思います(特に種類株式で投資している場合)。デラウェア州ではTradosという裁判例もあるところです(結末はちょっと面白いですが)。VCと普通株主との利益相反が問題になる局面は他にもありますが、お金が目の前に見えているので、顕在化しやすいのでしょう。
※優先株主と普通株主とで受取額に差が出ること自体は、liquidation preferenceの結果でありおそらく不当ではないでしょうし(極端な内容であれば別ですが)