プライベートエクイティファンドが経営指導料などの名目で投資先から受領する、いわゆるportfolio company feeの金額が、調査した範囲で過去20年間で推計$200億ドルを超えているという論文が先日発表されて、各所で少し話題になっています。
PEファンドが投資先から手数料を貰っても、投資先に少数株主が残っている場合は別として、100%子会社にしていれば少なくとも株主間の利益相反問題は生じないことになります(なぜなら他に株主がいないので。100%でなくとも、ファンドが経営陣にインセンティブとして一部の株を付与しているだけの場合もほぼ同様でしょうかね)。もっとも、株主間の利益相反はなくとも、手数料の受領者がファンドそのものではなくファンドの運営会社となる場合には、ファンドのGPとLPとの間で利益相反が生じる可能性があり、米国証券取引委員会(SEC)が問題視している事例もあるようです(例えばこれなど)。SECとしては、金額や内容の妥当性よりも、GPからLPに対して適切な開示がなされていない点を問題としています。SECの処分権限の根拠が、投資家を欺く行為を禁止する1940年投資顧問業法の規定なので、ある意味当然ではありますが。
なお、投資先からファンド運営会社に手数料が支払われる場合、GPとLPの利益相反を緩和するために、その手数料分と管理報酬とを相殺する規定がファンド契約(Limited Partnership Agreement)に入っていることも多いですが、その場合も、100%全額ではなく、例えば手数料の50%相当額を相殺するなど、パターンはいろいろあるところかと思います。