米国ヤフー対アクティビスト

米国ヤフーは、保有する巨額のアリババ株式をAabacoという新設会社に分離するスキームをしばらく前から検討していましたが、近時の報道によると、アリババ株式を分離するのではなく、本業である米国のインターネット事業自体を売却することについても検討を始めたようです。ヤフーには著名アクティビストであるStarboard Valueが昨年から投資しているのですが、Starboardからヤフーに送られている一連のレターとあわせて時系列を追ってみると、まるでヤフーの戦略はStarboardの主張を後追いしているようにも見えなくもないですね。。。米国アクティビストの怖さです。

もともとは、アクティビストもアリババ株を別会社に分離するよう主張していたわけですが、米国IRSが、アリババ株などをAabacoに移すスキームがタックス・フリーであることを確約できないとヤフーに言ったため、アクティビストはAabacoスキームに反対し、本業自体を売却すべきと主張するようになりました。Aabacoスキームについては、それがタックス・フリーである旨の大手法律事務所の意見書があるとされているものの、とはいえ投資家としては将来的な課税リスクを大なり小なり織り込むわけで、株価はディスカウントされてしまいます。そうであれば、同じように本業とアリババ株を分離することを目的としていても、税務面での不透明さが少しでも残るAabacoスキームよりは、アリババ株をヤフーに残して本業自体を売却する方が、コングロマリット・ディスカウント(?)を解消する手法としては優れている、というロジックのようですね。(経営者の問題についてもいろいろ報道はされていますが、割愛。)

そういえば、アリババといえばVIEストラクチャーのリスクが上場時の目論見書で改めて注目されていましたが、米国投資家はそのリスクは呑み込めたということですかね。

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