SECがファンドに対して目を光らせている分野

世界的な趨勢として、ファンドに対する規制は年々厳しくなっています。その流れの一環として、米国のSECではここ数年、ファンドに対する検査を強化し、不適切な行為に対して行政処分(enforcement)を課する方針を強めているようです。

SECがファンド検査の重点項目としている分野は、SECのサイトで毎年(2013年以降)公表されているのですが、その中でも繰り返し掲げられているのが、ファンドのフィーや経費に関わる内容であり、実際の処分も数多く出されています。

処分の中身を詳しく見てみると、GP/LP間のフィー・経費の配分が問題になっている場合と、複数のファンド間でのフィー・経費の配分が問題になっている場合があります。

1. GP/LP間

一般的に、ファンドの運営会社(GP)が支出する経費のうち、どの部分がGP自身の負担となり、どの部分がファンド(LP)の負担となるかは、ファンドの契約書(LPA)に定められています。しかし、この契約書の文言を緩めに解釈して、さまざまな費用をファンドに請求している事例が、処分の対象とされているようです。

例えば、最近のファンド運営会社は投資顧問業法(Investment Advisers Act of 1940)に基づく登録を行っていることが多いですが、これに伴い発生する登録費用等を、ファンドに負担させていた運営会社が処分対象となっています。

この他、ファンドの投資先企業から貰っている様々なフィーを、ファンドの契約書等で適切に開示しないまま、運営会社で受領していた場合などが問題になっています。

なお、このような事例を受け、実務的には、経費負担を定める契約書の条項を、より具体的かつ詳細に記載する方向に進んでいるようです。

2. ファンド間

運営会社が複数のファンドを運用している場合に、ファンド間の経費の配分が適切ではなかったとして、処分されている事例も複数あります。

同一運営会社が複数のファンドを運営する場合、それぞれのファンドのコンセプトが全く異なる場合はそれほど大きな問題になりませんが、投資対象などが重複する似たようなファンドであれば、このような問題が色々と生ずることになります。ファンド間で衡平な配分を行おうとすると、それぞれのファンドのコミットメント総額のみならず、出資済金額や、今後の投資余力なども考慮する必要があったりして、実務的には結構手間のかかる場合も多く、運営会社としては注意が必要なところです。

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