少し前に、Uberのタックス・スキームをかなり詳しく説明している記事がありました(How Uber plays the tax shell game)。スキームとしてはUber固有なものではなく、一般的に使われているものということであり、現時点で定着しているタックス・スキームの実務が紹介されているという点で参考になります。
お金の流れを示した図も含めて内容は原記事を参照いただければと思いますが、自分なりに理解したポイントを記しますと:
- 2013年5月にUber International C.V.をオランダに設立。但し従業員はゼロで書類上の本社はバミューダ。
- 米国UberからUber International C.V.に対し米国外の知的財産権の使用権を譲渡(譲渡対価:アップフロント約$1M+将来売上の1.45%のロイヤリティー)。今後の知的財産の開発コストはUberとUber International C.V.で分担。
- Uber International C.V.の下にUber B.V.を同じくオランダにて設立。Uber B.V.は48名(当時)の従業員を有するオペレーティング・カンパニー。
- Uberの乗客が各国で払う乗車料金は一旦Uber B.V.に集約される。
- Uber B.V.は売上の1%を差益として留保し、残りはUber International C.V.にロイヤリティーとして支払う。
- この結果、ロイヤリティー分はオランダ・アメリカの双方でほぼ非課税(アメリカは将来への課税繰り延べという方が正しいかもしれません)。
米国のcheck-the-box制度を利用して、C.V.というentityの税務上の取り扱いをオランダと米国とでずらしているということのようですね(オランダではパススルー、米国では課税対象)。