ファンドLPのための業界団体

ILPA(Institutional Limited Partners Association)という、PEファンドの投資家(LP)の利益を推進することを目的とする団体が、PE業界で用いるべきベスト・プラクティス・ツールを色々公開しています。総額1兆ドル以上を運用する300以上の投資家がILPAのメンバーになっているとのこと。

ILPAでは、ファンド情報の透明化を図るため、ファンド・パフォーマンスやフィー情報(キャリード・インタレストや管理報酬)などの統一的な開示基準を提示しているほか、キャピタル・コール通知書のサンプルや(ファンド出資の際の)DD質問状のフォーマットなど多少マニアックな資料もサイトで公開しており、参考になります。この団体のものであるかどうかは別として、ファンド業界における開示の様式は長期的に見れば標準化されていくのでしょう。

誰がIoTに投資しているか

少し前のものですが、IoTに投資しているVC上位14社と、その投資先を一覧化したが公開されていました。勉強になります。

Intel Capitalがダントツの1位、Qualcomm Venturesが2位です。確かにこれらの企業はチップメーカーとして、PC、スマホの次に来る覇権争いに負けないよう、この分野に投資する意味がありそうですね。CVCとしては他にCisco Investmentsが入っています。Ciscoもネットワーク機器のガリバーなので、IoTで取り組める内容が多そうです。

FacebookはなぜIPOする必要があったのか

Financial Timesに、最近ユニコーンのIPOが進んでいない、という記事がありました。その内容はさておき、記事の中に、株主数が一定数を超えるとスタートアップは上場せざるを得なかった、という記載があったので、その根拠となる規制の具体的な内容について、備忘的に記します。 “FacebookはなぜIPOする必要があったのか” の続きを読む

Googleの制限付き株式って?

GoogleのCEOが報酬として約230億円相当の制限付き株式を付与された、という記事がブルームバーグに出ています。

制限付き株式(Restricted Stock)というと譲渡制限株式かな、というイメージが日本だとありますが、ちょっと違いますよね。Google(というかAlphabet)は上場してますしね。 “Googleの制限付き株式って?” の続きを読む

上場PE会社の株価

フィナンシャルタイムズで、上場しているPE会社の株価が低迷しているという記事が出ています。発表されつつある2015年第4四半期の業績が振るわないということが触れられていますが、収益構造的にどうしても業績の変動は激しくならざるを得ないので、株式市場で評価するのは難しい業界ですね。

VCと先買権

ベンチャーキャピタルは、スタートアップに投資する際に、投資先株式の先買権(preemptive rights)を投資契約で確保しておくことが多いです。先買権を有する投資家は、次のファイナンス・ラウンドで、他の外部投資家よりも優先してスタートアップに出資する権利を持っています。しかし、実際には、既存投資家だけで次のファイナンス・ラウンドの出資を完結することは少なくて、むしろ外部から新たに投資してくれるVCを探してきて、その外部VCがリード・インベスターを務めることが多いです。

なぜ、そのようなことをするのでしょうか。もちろん、必要な金額を調達するために新たなVCが必要だった、ということも多いと思いますが、ちょっと違って視点で見てみたいと思います。 “VCと先買権” の続きを読む

コンプライアンス・オフィサー受難の時代?

WSJによると、金融機関のコンプライアンス・オフィサー個人が行政処分において制裁金を課される事例が増えており、ニューヨーク州では、州の規制当局がコンプラアンス・オフィサーの刑事責任を追及する動きも出てきているとのことです。このような中、コンプライアンス・オフィサーの職を敬遠する人が増えており、新たな候補者を見つけるのが大変になってきていると。

ファンドのポートフォリオ・マネジャーが個人的な投資において利益相反行為を行っていたことを意図的に見逃したとして、ファンドのコンプライアンス・オフィサーが6万ドルの制裁金を課された事例も紹介されています。具体的にはこちらですね。

培養肉スタートアップ

Wall Street Journalに、「培養肉」に取り組むスタートアップが増えている、という記事が出てました。培養肉とは、動物の細胞を培養して人工的に作られた食用肉であり、効率的に肉が製造できます。数年前から牛肉で取り組まれているようですが、その後鳥肉が続き、今回は豚肉の培養にも取り組むスタートアップが現れたという記事です。肉の消費は世界的に増え続ける一方、既存の畜産業は規模の拡大に限界があるので、技術革新が必要な市場ということでVCのお金も流れ始めています。

酸素供給が必要なので極薄の肉しか作れないとか、培養過程で牛の胎児の血清が必要なので結局は製造のプロセスから動物が排除されていないとか、今の時点ではコスト面以外にもいろいろ課題はあるようですが、面白い分野ですね。